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ひとつひとつ、手作業で。もらって嬉しい「箱」づくりの工房を訪ねて。

東京都台東区・佐藤紙器製作所

パドゥドゥは、2020 年秋に予約販売とオンラインショップを中心としたお店としてリニューアルしました。

お菓子づくりに携わるたくさんの人々の想いを大切に、予約制にすることでフードロスをなくすことも理由のひとつでした。そして、大切につくったお菓子は、贈りものや特別なシーンでのお手伝いができたらと、パッケージも一新。目指したのは、包みを開けたときに思わず笑顔がこぼれるような嬉しい体験を、お菓子と一緒に届けること。

デザインに込めたその想いを、かたちにしてくれたのは、東京の下町で3代続いて箱づくりを行う「佐藤紙器製作所」の佐藤隆志さん、裕人さんの親子です。

新しいパドゥドゥを象徴するような、美しい佇まいの「貼箱」。どのようにつくられているのか、東京都台東区にある工房を訪ねました。

東京の下町で受け継がれる
箱づくりの技と想い。

「佐藤紙器製作所」が工房を構えるのは、古くから問屋街として知られる町で、特にタオル問屋が多かったそう。

「贈り物やご挨拶には『タオル』という時代があり、昭和 40 年代は全盛期。おかげでタオルを入れる箱を作る箱屋もとても繁盛していたけれど、近頃は時代とともにタオルの需要は減り、高齢化や後継者不足もあって箱屋の数は 1/3 くらいになったかなぁ」と、先代の隆志さん。

そんな厳しい時代に、箱屋の後を継いだのが裕人さんです。「後を継いだのは平成 12 年。先代から受け継いだ技術と機械で、ひとつひとつ手作りで箱作りをしています。ここは幼い頃からなじみ深い遊び場のような場所。私が出入りしていたように、今は自分の息子たちがやってきます。この前は学校の自由研究で箱ができるまでの本作りも。興味を持ってくれて嬉しいですよね」

 


にこにことお出迎えしてくださった、先代の隆志さん(左)と、裕人さん。

双子の息子さんたちによる、自由研究「はこできるまで」。

ひとつひとつ手作業にこだわる「佐藤紙器製作所」の箱づくり。その理由は、お客さんからの依頼に応えるため。形や大きさ、ロット数など、それぞれのリクエストに応えたという想いは、壁一面にずらりと積み上げられた「箱の木型」からも、知ることができます。厳しい時代でも、様々な方面から相談が絶えないのは、丁寧なものづくりへの信頼があるからなのでしょう。

過去に作った箱の木型は、ほとんど残されているそう。

フルオーダーに応える職人技。
ひとつひとつを手作業で。

実際にどのようにつくられるのか、貼箱づくりの工程を見せていただくことができました。ちなみに「貼箱」とは、箱の上から用紙を貼ったもので、化粧箱とも言われる手工芸品のひとつ。古くから、贈答品用などに用いられていた高級感のある箱のことをいいます。

貼箱づくりは、まずはベースになる箱の板紙を、注文されたサイズにカットするとこから始まります。

サイズにあわせてカットした板紙は、角を落とし、薄い折り筋を入れます。 
筋で折り、壁をつくります。
箱のかたちができたら、外側に貼る用紙をサイズに合わせてカットし、貼り合わせるためののりを温めます。
 貼り合わせたときに、重なりがきれいになるように計算した角度で、角の切れ込みを入れます。
のりの材料を80度のお湯で湯煎し、60度まで温め溶かします。

いよいよ、用紙を箱に貼り付ける作業です。機械でのり付けされた外側の用紙に、板紙を貼り付けていきます。ひとつひとつ手作業で行われるのですが、ぴたりと曲がらずにどんどん貼っていく様子は、まさに職人技。

空気が入らないよう、ピタリと貼り付けます。
壁の部分は木型を装填した専用の機械で、のり付けします。

立ち上がり部分の最後の仕上げののり付けも手作業で。

工房のなかの機械はどれも年季の入ったものばかり。最終仕上げも、古くから使われてきた機械をつかって仕上げます。圧力をかけてピタリと貼り合わせるための機械で、バーの厚さを調整しながら箱に合うサイズを作り、ちょうど良い力加減で挟み込むことで、美しい仕上がりに。

挟んで圧力をかけることでのり付けの強度も増し、しぴっと仕上がります。ヨレひとつない、美しい姿。
工房内に、パドゥドゥのサンプルボックスを発見!完成するには試行錯誤するのだそう。

箱づくりのこれからのこと。
数ではなく質を追求していきたい。

 昔は商品の入れ物だった箱。最近では特別なものに変わってきているそうです。

「今回のパドゥドゥさんの箱もそうですが、ものとしての美しさにもこだわる方が増えていると感じています。箱は商品を手にする前に、最初に目に入るもの。第一印象を担う大切な役割があり、責任感をいつも感じて作っています。角をきっちりぴたりと合わせるなど、細部に手を抜かないことが大切。これから先も、1万個の箱を作るよりも、ひとつひとつを丁寧に作り続けられたら幸せですね」

佐藤さん親子の愛情がたっぷり詰まった箱。ぜひ、パドゥドゥの焼き菓子と合わせてお楽しみくださいね。

佐藤さん親子と箱と一緒に。

 佐藤紙器製作所のみなさんのおかげでできた、パドゥドゥの商品たち 

(文:たぐちみきこ) 

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ありがとうございました。

今回のパッケージ。一新するにあたって、まず大切にしたことは、捨てずにいつまでも手元に置いておきたくなるようなパッケージを目指しました。ひとつひとつ箔も職人さんが押してくれています。

箱で使用している紙は、1829年創業、自然豊かなドイツ・バイエルン地方にあるプレミアムペーパーメーカーのものです。現在もヨーロッパ最古のペーパーマシンを使用。原材料は高純度かつ安全性の高 いものを選りすぐっています。数多くのラグジュアリーブランドやアカデミー賞発表の際の封筒もグムンド社のものだそう。

お菓子だけでなく、箱も含めて、お客様への贈り物となりますように。

 

 

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